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2005 WRC第13戦 ラリージャパン 観戦記


1日目(LEG2観戦)

今年こそは休みを取ってスタートからフィニッシュまでを見ようと思っていたが、結局休みは取れず、また土日のみの観戦になった。金曜日は仕事が終わってから出発し、追分町で1泊。炭坑で有名な夕張市の近くである。携帯でLEG1の速報を見たらソルベルグがトップであった。これは面白い展開だ。

朝起きたら雨だった。7時過ぎに追分町を出発した、道は比較的空いていたので9時前には帯広市内に着いた。今日の予定は13時15分音更のSS観戦からはじまる。まだ時間があるので十勝プラザにあるラリーHQに行き、そこでプログラムを購入した。パソコンが何台か置いてあって、自由に見ることが出来るようだ。

SS15シノチアキは音更IC付近からシャトルバスで30分程のところにある。バスを降りてからは5〜6分山道を歩いて観戦ポイントに着く。小雨が降ってきた。とりあえず、緩いS字が見えるところに座る。近くでノルウェーの応援団が「ユー・アー・マイ・サンシャイン」のメロディに乗せてソルベルグの応援歌を歌っている。すでに酔っぱらっているようだった。木登りなんかもしていた。ホントによく楽しんでいる。



SS15、ノルウェーから来た?ソルベルグ応援団。

 1走目はたしか三菱のジル・パニッツィだ。その後シュコダのA・シュワルツ、で、フォードが何台か続いた。目の前を走りすぎるのはほんの一瞬だけど、迫力が伝わってくる。登りながら緩い左カーブを過ぎてすぐ右カーブ。マシンの挙動がよくわかる。フォードのワルンボルドとプジョーのグロンホルムは少しアウトに膨らんで、ドリフト状態のまま一瞬のフェイントで右カーブに入ってきた。シトロエンのローブは少し抑え気味でコーナーに進入してきた。最後はスバルのソルベルグ、緩いS字をきれいに抜けたが、次の登りでスライドしすぎてマシンが横向きになった。ちょっとやばかったがすぐに体勢を立て直した。歓声が上がる。

 観戦エリアはそんなに広くはないのだが、場所によってかなり見え方が違うようだ。ちょっと高台になっているところでは、マシンを真下に見下ろしてから坂を駆け上る後ろ姿を見ることが出来る。ある場所では右から左へ過ぎて行くだけのようなところもあった。場所の選定もまた難しいものだと感じた。

 SS15のあとはとりあえず足寄方面のリエゾン観戦である。せっかくシトロエンC4で来ているので何とかローブに見てもらいたい。クルマを駐車場に止めてのラリーパーク観戦じゃ意味ないし。で、時間的にSS19とSS20の間のリエゾン区間がちょうど良いだろうということで、国道241号線に合流する地点で待つことにした。付近のドライブインにはすでに何台かクルマが止めてあって、合流地点ではすでに15人ほどの観戦者がいた。



プジョー307WRC。足寄のリエゾン区間にて。

まずはデュバル。ローブが来たら作戦決行だ。


 ここである作戦を思いついた。ローブの前を走り、途中で合図をして追い越させるという、実にわざとらしい演出である。待つこと3、40分で次々とラリーカーが山から下りてきた。2分ぐらいの間隔でやってくるが、たまに2台続けてくる。そしてローブが来た。こちらは先に走って速度調整をする。タイミングを見計らって窓から手で合図をすると、すぐにローブが追い越しをかけてきた。こっちも思い切り手を振った。ローブは窓から手を出し合図をしてくれた。感激だ。はっきり言って興奮した。

 更に追いかけようと加速したら、後ろから突然金属音が聞こえたのでミラーを見たら、スバルのソルベルグが迫ってきていた。対向車も来ていたが、とっさに道を譲ったらソルベルグはすかさず追い越してきた。ローブのすぐ後ろにいるとは気づかなかったので、ソルベルグには悪いことをした。でもその一連の動きが何ともかっこいい。ソルベルグの一瞬の状況判断。一般車両相手とはいえしびれた。


 その後はしばらく興奮状態が続いた。あのセバスチャン・ローブが、C4に乗る俺に手を振ってくれた。すごいことだ。C4買って本当に良かった。あまりの興奮状態に次のスケジュールも忘れ、夜の札内スーパーSSの時間に遅れてしまった。結局雰囲気だけ味わって、入場せずにサービスパークまで行くことになった。サービスパークは去年とは若干レイアウトが変わっていた。まず入場口がシャトルバス乗降場側の一カ所になっていた。去年まであった駐車場がなくなり、代わりに幕別の大駐車場からシャトルバスのみでの入場となっていたからであった。これはこれで大変便利である。駐車場と札内SSと北愛国をそれぞれ結ぶので時間的にも効率的だ。なによりも往復2.6キロの徒歩区間がなくなっただけで助かる。

 そういえば裏のスタッフ駐車場らしきところにプジョー607を見つけた。冗談で「ブルーライオン帯広で用意したプジョーチーム用の車だよ」なんて言っていたら、なんとジャン・ピエール・ニコラ御一行が乗って行った。それがあまりにもかっこよかった。607もいいじゃん!





2日目(LEG3観戦)


 日曜日は朝5時半に起きた。今日の予定はまず朝のサービスを出たラリーカーを旧愛国駅付近で待ちかまえての応援である。やはりすでに10人ほどの観客がいる。警備のおじさんも朝から大変である。クルマを選手から見やすいところに止め、昨日買ったシトロエンの赤いスポーツタオルを窓に挟めて、屋根の上にビバンダムのクッション、それにシトロエンスポールのキャップをかぶせる。紙切れに「
LOEB World Champion」とマジックで書く。少し離れたところではプジョー406に乗る人がプジョーの旗を振っていた。残りはスバルと三菱のファンだろう。スバル車で乗り付けた人はまず間違いなくスバルファンと見ていい。




朝からシトロエンの応援。ここでは少数派でした。

ローブ頑張れよー。



 6時50分くらいから続々とマシンがやって来た。フォードのワルンボルドは相変わらずミスファイアリング・システムをパンパン言わせている。多分一番響いているだろう。F・デュバルはどうも愛想がない。今大会、三菱はけっこう速い。それは来る順番でわかる。常に4〜5番手につけている。なかなかだ。で、ローブがやってきた。多分昨日のC4だと気づいただろう。ローブはちゃんと減速してくれて、俺の書いたメッセージを読んでくれた。何てファン思いのドライバーなんだろう。またしても感激である。俺以上にうちの奥さんはもっと感激している。次はグロンホルムだ。ソルベルグまで20数秒、頑張れー。406の人はすぐにグロンホルムを追いかけて行った。最後はスバルのソルベルグだ。インプレッサは窓にミラー状のフィルムを張っているので顔が見えない。

 しばらくそこで応援をして、ぼちぼち出発する。とりあえず札内のスーパーSSまで時間もあるし、新得方面まで走るとするか。のんびりと38号線を進み屈足(くったり)のラリーパーク付近まで行くが、そろそろまたワークスカーが来そうなので途中の農道にクルマを止めて待つ。1台止まってあると次々とクルマが来て、そこもまた観戦ポイントとなってきた。

 朝の十勝平野も気持ちがいいものだ。天気も次第に良くなってきた。ここでまたしてもローブである。今度は後ろを走ることにした。でも先を越されてしまった。レンタカーのマツダ車がローブの後ろにべったりくっついて走っている。あんなにくっついて走ったら選手だって迷惑だろうに。しかも赤信号で止まるたびクルマから降りてサインをもらおうとしている。これはなんとかしなきゃと思い、追い越して自分がローブの後ろに付けた。一定の距離を保ち、ゆっくりとついて行く。ただ一緒に走りたいだけなのだ。


 次は札内のSS24である。今年はシャトルバスから入場ゲートまでかなり歩かされた。付近は造成地で住宅もたくさん建っているので、バス停が大幅に移動になっていたからだ。SS自体は去年も見ているので雰囲気はだいたい同じ。でも今年はワークスの台数が多いのでそれなりに見応えがあった。ただ観客席がけっこう空いているような気がした。これはおそらくスーパーSS以外にも別な楽しみを見つけ、それぞれ各地域にちらばっていたからではないかと思われる。推測だけど。




カーナンバー1のクサラWRC。これだけはよく撮れてました。

新井敏弘のインプレッサ。



 そして次に北愛国へ向かう。実はここでちょっと勘違いをしていた。去年、札内のあとのサービスだったが、今年は札内の前にすでにサービスを受けていたのである。よくスケジュールを確認しなかったのでちょっと損をしてしまった。当然サービスパークに着いた時にはもうすでにマシンは出発したあとだった。さてフィニッシュまで時間があるが、どうしようか。表彰台付近はもう場所がないし、とりあえずシトロエンのサービスを見学だ。

 テントの中ではシトロエン・チームの面々が例の丸いテーブルを囲んで集まっている。ローブのチャンピオン決定はもうすぐである。ここでスバルのソルベルグがリタイアしたとの情報が入った。さすがに信じられなかった。よほどのことがなければ優勝間違いなしであったのに。ラリーは何が起こるかわからない。とするとプジョーのマーカス・グロンホルムが優勝だ。これは万歳だ。マイケル・パークのことがあったし、プジョーチームにとっては本当に感動の優勝になるだろう。スバルもアトキンソンが3位に入って面目を保つことが出来る。


 突然シトロエンのテントから大歓声があがる。ローブのチャンピオン決定だ。いつもTVで見ているあのシーンを間近で見ることが出来た。WRCのワールド・チャンピオン決定の場に居合わせられるという奇跡に感動して涙が出そうになった。ローブの奥さんも喜んでいる。男山酒造の酒樽で鏡割りの準備もしている。日本的だなあ。次にシトロエンスタッフはプジョーのテントに行き、グロンホルムの優勝を祝福する。いい光景だね。



ローブ凱旋。

さあそしてセバスチャン・ローブの凱旋だ。もう各国のジャーナリストからビバンダム君まで総出でお出迎え。あまりの人の多さにマシンも何も見えない。ここで陣取る位置を間違えたことに気が付いた。やはりローブ側を選ぶべきだった。なぜならチャンピオンボードの前で記念撮影だったからだ。デュバル側からは全く見えない。もっともローブ側は最初からすでに埋まっていたのだが。で、ローブがサービスを出てやっと静かになった。後ろのプジョーテントではジャン・ピエール・ニコラやグロンホルムがインタビューを受けている。こちらも人だかりでほとんど何も見えない。それでもどうにかして写真だけは撮った。



もう何がなんだかわかりません。でもいましたね、チャンピオン。

はじめからこの位置にいればよかった・・・。


表彰式はすでに人がいっぱいだったので、遠くはずれの方で見ることにした。といっても何も見えず、アナウンスの声だけしか聞こえない。華やかな表彰式ですごく雰囲気が良かった。あとから思ったけど、感動的な表彰式はやっぱり間近で見たかったよ。とにかく天気も良く、最高のラリーだった。そして過ぎていくラリーカーを見送りながら会場を後にする。最後に見たスズキ・スイフトは音といい外観といい、とてもかっこよかった。

2回目のラリー・ジャパン、前回とはまた違った意味で満喫できた。ただ日にちが短いのが残念だった。もう一日休みを取れればもう少しうまく回れると思う。今回に関してはLEG2の札内のチケットは買わなくてもよかったのかなと思った。1日でいろんなところを見て回るのは無理だから、ポイントを絞って集中して応援するのがBESTな方法と感じた。でもやっぱりラリー観戦は面白かったし、前回よりも行動範囲が広がってラリーに参加しているような気分にもなれた。行って良かった。何よりもC4を買って良かったと思った。WRC万歳。そしてありがとう。(涙)




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